NHK・FM能楽堂
FM放送のご案内
番組名:NHK・FM能楽堂
放送予定日:2021年2月7日(日)午前6時~6時55分
観世流 素謡 「櫻川」
親子愛と美しい桜を重ね合わせた曲
一 子供(桜子)の母への思いやりと、子供を探し求め物狂いになってしまった母が・・・ 一
□配役
シテ(桜子の母・狂女)と地謡 松山隆雄
ワキ(磯辺寺住僧)と地謡 梅若長左衛門
ワキヅレ(従僧)と地謡 内藤幸雄
ワキヅレ(人商人)と地謡 川口晃平
ワキヅレ(里人)と地謡 松山隆之
地頭 梅若実(人間国宝)
□あらすじ
桜子(櫻川の少年)は母の困窮な生活を見かねて東国の人買いに自分の身を売ってその身代金を母に残した。母は人買いに身代金と桜子の遺書を渡され、はじめて事情を知る。
「のう、その子は売るまじき子にてそうろうものを」と。そして我が子の後を追う。
それから三年が経過した春のことである。桜子は、今は常盤の磯辺寺の住僧を師と頼んでいる。今日は僧に伴われて桜川に花見に出かけた。一行を迎えた里人(ワキヅレ)は美しい抄い網で流れる川に散り敷く花を抄って遊ぶ狂女を見せてあげようとして女を呼び出す。
花は散りかけて、それは吹雪のようだ。物狂いになり旅を重ねてここまでたどり着いた母(後シテ)は名も懐かしいこの桜川で花を抄う。「常よりは春べになれぱ桜川波の花こそ間なく寄すらめ」とは貫之の古歌である。桜花なら、古い名詩や名句にいくらでも歌われている。
郷里の氏神・木華開耶姫の御神体も花、その名をつけた桜子の事を思いつつ、狂女は挟も裳裾も水にひたして花を抄う。桜づくしの掛け合い(網ノ段)。
僧が身元を尋ねると、この狂女は桜子の母であることがわかる。まるで夢のようだ。年が経って互に様子は変わってしまっているけれど親子は再会でき二人は出家する。
※素謡では子方は登場しません
○早朝ですが、お聴きいただけましたら幸いです。