梅若会定式能

2019年12月15日(日)午後1時 開演 (開場 正午)
於.梅若能楽学院会館

『花月』
七歳の我が子が行方不明になり出家した僧が、旅の途中で花月という名を耳にする。花月は清水寺の花の下で流行の小唄を謡い、花を散らす鴬を弓矢を使って戯れ、清水寺の縁起などを曲舞に舞う。これを見た旅僧は花月が行方不明になった我が子と気づき、花月に話を聞くと七歳のとき天狗にさらわれ諸国を巡る身の上と聞かされる。親子を確信した旅僧は花月に父親だと名のり二人は再会を喜ぶ。花月は門前の者にすすめられた羯鼓を楽しげに打ち、天狗にさらわてから山々を回った思い出を舞い示す。やがて花月は寺をあとに父と共に仏道修業の旅に出る。

『葛城』
~かづらき~旅山伏が葛城山に修業に入ると大雪に悩まされる。山伏は里女に案内された庵で小枝の火により暖をとり、黒衣も乾いた頃後、夜の勧行を始めようとする。すると里女は自分は葛城の神で、明王からの岩橋を架ける命令に自分の姿を恥じ夜しか作業をせずに罰せられ、今は蔦葛~つたかづら~に締ばられ三熱の苦を受ける身だと明かすと、自ら加持祈祷を山伏に頼み姿を消す。山伏が終夜祈祷を続けると葛城の女神が現れ自分への祈祷を喜び大和舞を舞うが、朝暁が近くなると自分の容姿を恥じらい暗い夜の岩戸の中へ消えてゆく。

『碇潜』
~いかりかずき~平家に縁故のある僧が平家一門の跡を弔おうと長門に下り早靹の浦に着く。そこへ現れた老人の舟に乗り、この浦の戦物語を聞く。老人は平家の敗戦が色濃くなり、平教経は安芸太郎、次郎兄弟を左右の脇に挟み、海底に沈んだ様を語ると、その時の亡霊だと告げ姿を消す。僧が弔っていると海上に大船と共に、平家最後の場面が浮かび上がった。やがて僧の眼前は修羅道の有様となり、平知盛が頭上に碇を戴き海中へ飛び込む壮絶な最期の姿を見た。


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