三笑

国立能楽堂 普及公演

日 時 平成二十八年十一月十二日(土) 開演午後一時
於.国立能楽堂


三笑
晋の慧遠禅師(シテ)は、ろ山に隠棲して三十余年も山を出ない。十八賢人らの同士と白蓮杜を結んで世を捨て、ひたすら仏道修行に励んでいる。
十一月のある日、詩を詠み酒を飲む友、陶淵明と陸修静が訪れた。ろ山の石橋を渡り、巌に腰をかけて共に爆布(大きな滝)を眺め、その壮大な絶景を賞して酒を酌むのである。
飛沫の林は梢に向かって夏の雪を見るようであり、爆布の壼に落ちて石を打つ音は春雷のようだ。銀河の水は地に落ちて再び天に昇り、まるで天地を昇降するようである。
もともと、陶淵明は彰沢の令となったが権力に従う事に堪えられず、わずか八十日余日で官を辞し、日夜酒を愛して松菊をなぐさみとした人だ。また陸修静も神仙の術を学んで陸道子といわれ、後には此の山の簡寂観に隠居した人だ。
三士の談話はすべて詩の世界を彷裡させ、酒に酔い、面白さも増して時の移るのも忘れ、共に舞う(相舞ノ楽)のである。
やがて宴もやみ、橋を渡ろうとした慧遠は足もとがふらついてよろめいたので、陶淵明・陸修静の二人は左右からささえた。慧遠はますます興に乗じて戯れて、知らないうちに虎渓の外へ遥かに出ていた。それを気づいた陶淵明に「長年の禁足を破るのか」と注意されて、三人は一度にどっと手を拍って大笑いする。
○ 観世流では珍しく、子方の舞が入ります。子方は隆雄の孫・松山絢美がつとめます。
○ この能は、あの有名な故事『虎渓三笑』を題材としています。
三人が笑っている姿の水墨画『虎渓三笑図』があります。
○ 能ではまれに見るr笑い」を取り入れていて、朗らかで清らかな終演です。